SAITO - NEWTONE RECORDS (JP)
www.newtone-records.com
近年、アナログレコード総売上枚数は上昇傾向にありますが、やはりデジタル配信の進展の方がより激化しているなか、アナログレコードショップを運営し続けるそのバイタリティーはどこからやってくるのでしょうか。
デジタルでの音源を購入する機会がほとんどないので、他のメディアでのことはわからないですが、アナログ・レコードに関して言えば、新しいアーチストやレーベルが出てきて、新しい音が生まれ、新しい流れが生まれる。魅力的なレコードがどんどんリリースされるエキサイティングな状況がいまだに続いています。
レーベルや流通はより個人的になり、良いものは、入手が難しくなり、あっという間に値上りしたり、一枚一枚に一喜一憂。20年近くレコードの販売に携わってきて、それ相応には音楽を聴いてきたつもりではあるけれども、未だにレコード盤、音との出会いにワクワクできる。楽しいんですよ。
レコードつくったり、買ったりしているような業の深い人たちの、情熱に支えられ、今日もレコードを売っています。
PERC - PERC TRAX (UK)
perctrax.bandcamp.com
あなたは、イギリスと海外のクラブシーンに違いを感じますか。
それはどんな感じですか。
すべての国が独自のクラブシーンをもっているけど、各国間での協調や類似点は度々感じとることができるよ。
例えば、現時点では UK とオランダのシーンはいくつかの点で極めて似ていて、また両国のオーディエンスから受ける印象はドイツのクラブでの感覚とはまた異なる。
UK は、とにかくエネルギッシュで衝撃的に思うよ。
そこでの DJ は1~2時間でのショートセットが一般的だということもあって、公演時間内において長いビルドアップやダビーな楽曲は良く機能されない。
彼らのセットでかかる楽曲群にはダンスフロアにおいて個々のエフェクトが効いていなければならない。
もちろん比較的長いセットをする DJ も今も存在するけれど、最先端の UK テクノから受ける印象は絶えず流動的で、3~4分のゆっくりとしたドラムループの変化の代わりに、UK の DJ の選曲は進化し彼らのプレイは常にオーディエンスを驚かせるだろうね。
あなたはこれまでに何度も日本を訪れていますが、
日本にどのような印象を持っていますか。
日本は本当に好きだよ。日本はユーロ圏以外で初めて公演を行った国のひとつで、来日時には音楽的にも社会的にもいつも良い経験をしているよ。
僕の主宰するレーベル Perc Trax の初期リリース作には、Gonno と Salmon (R.I.P.) といった日本人アーティストの楽曲もあって、これらのリリースを通じて日本人の素晴らしい友人が増え、また、こういった経験から僕やAvusの来日公演に繋がった。
東京からは、ニューヨークやロンドンのような地球西部の主要都市に似た印象を受ける。
それは僕が今までに経験した内容と完全に異なるものだった。東京や日本の都市は、僕にとってたいへん魅力的なんだ。今年下半期には再び日本公演をしたいと思っているよ。
RYO MURAKAMI - DEPTH OF DECAY (JP)
depthofdecay.tumblr.com
奥様Sae MurakamiのインパクトはRyo Murakamiの音楽のインパクトと同じく強烈ですが、 両者に劣らずここ数年の間で強烈なインパクトを受けた音楽機材はありますか。
また、それらの機材を使用したリリース楽曲はありますか。
強烈なインパクトというか、欠かすことの出来ない存在になったのは、Roland DC20、Hiwatt Tape Echo、Knas Ekdahl Moisturizerです。どれも綺麗な音は発しませんが、素晴らしい劣化具合です。
ほぼ全トラックのどこかしらで使っています。
https://soundcloud.com/ryo-murakami/ryo-murakami-deist-excerpts
HAKOBUNE - TOBIRA RECORDS (JP)
hakobunemusic.jp
以前は京都在住と存じ上げておりますが、現在東京に住まれて、
京都と東京の違いについて感じた事はありますか。
人口とシーンの規模は当然比例しています。
元々ノイズ/実験音楽が好きなので、上京直後はライブイベントの多さに感激し、足繁く通っていました。その他のシーンも盛り上がっており、ほぼ毎日都内のどこかで面白い音楽が鳴っています。どこに行くか選びきれないことも多々あります・・。
京都は東京に比べて音楽イベントの数は少ないですが、レコード屋の密度は高い気がします。また、自然が近いので、よくぶらりと自転車で出かけていました。いつかまた住みたいと思う街です。

日野浩志郎 - BIRDFRIEND (JP)
birdfriendtapes.tumblr.com
大阪を拠点に活動されておりますが、関西のアンダーグラウンドクラブシーンに関して、今どのような動きを感じますか。
今後、日野氏の運営するレーベルの動きについて語っていただけますか。
クラブシーンでの活動を始めたのはここ数年なので、昔からの流れというのは正直なところ詳しく把握できているとはいえません。
しかし、それでも前と比べてはっきりと違うといえるのはクラブの数だと思います。
大阪でオールナイトが可能でアンダーグラウンドシーンとリンクできるところはCircus、STOMP、Compufunk、Nightwax…他にもあるかとは思いますが、音や時間などの制限があったりして満足に鳴らせるところは極少数。
そうなると、音を作ろうという人が新たに現れたとしても、ライブを行うハードルの高さを考えるとネット上に身を置くのは当然な事。
しかしそれは決してネガティブなことばかりではないと思っています。
さすがにSTEVEN PORTERの様に積極的に海外へアプローチを行い、ハイクオリティなものを作ってEU市場に乗せていくような動きをできる人が出てくるのはなかなか難しいとは思いますが、bandcampやsoundcloudを通じて海外からリリースし、逆輸入的に日本でも注目をされてきている人が増えています。
関西ではありませんが、岡山のSano KeitaはMister Saturday Nightや1080pからリリース、Takahiro Mukaiはロンドンの気鋭のレーベルWhere To Now?や他にも多数リリースして注目度が上がってきています。
これからこういう人が増えていくだろうと思っているのですごく楽しみですが、クラブが少ないことによる難点もあります。
それは、いざライブをするとなると現場での経験が乏しく、クラブでの音の鳴らし方がうまくいかないということ。自分は今でも悩む事でして、経験を積むにも場所や機会が少ないというのは残念な事です。
現在、世界的にライブアクトがDJに比べて少なく、各地のオーガナイザーはライブアクトを常々探しているという話を聞いたことがありますが、それでも関西にはSTEVEN PORTERをはじめ、Ryo Murakami、NHK koyxen、Takeshi
Kouzuki、Bingなどの素晴らしいライブアクトがいるというのは本当に貴重なことであると思います。これから関西でトラックを作れる、ライブができる人が増えていけば、自然と関西のアンダーグラウンドクラブシーンが盛り上がっていくのではないかと思っています。
僕のやっているカセットテープレーベル"birdFriend"は、カセット販売と、bandcampでのデータ配信販売をしているレーベルで、最初はテクノ/ハウスを軸に考えていたのですが、現在はかなり多種な音源をリリースしています。
2014年はほぼ毎月リリースしていまして、ある程度土台ができたと思うのでこれからは海外寄りにシフトを移そうと考えています。現在声をかけている海外のアーティストも多く、Rush Hour傘下のNo 'Label'からもリリースしているDesign A Waveのカセットリリースを皮切りにさらに海外へ積極的にアプローチしていく予定です。
現在同時進行でbirdFriendコンピレーションに力を入れていまして、これからの方向性の軸をそのコンピレーションで示したいと思っています。

DJ NOBU - FUTURE TERROR (JP)
futureterror.net
これまでにあらゆるところでDJされておりますが、国内外で最もDJしてみたい場所は何処ですか。
Beograd
また、今までプレイした中で最も印象に残っている土地は何処ですか。
秩父
MARTIN HEINZE - WEEVIL NEIGHBOURHOOD (DE)
www.weevilneighbourhood.com
”Weevil Neighbourhood”という唯一無二のレコードレーベルを主宰/運営するうえで、あなたが最も拘っていることは何ですか。
最も拘っている点は、音楽から感じる強大なエネルギーと身体に影響する強度です。
これまでに多くの日本人アーティストによる作品を発表されていますが、あなたにとってそれらの魅力は何ですか 。
大胆かつ攻撃的で、ミニマリスティック、ディストピアな作風の日本人アーティストのトレードマークとも言えるテクノを私は高く評価します。
TAKAAKI ITOH - WOLS (JP)
www.facebook.com/wols.takaakiitoh
同じ曲を国内外でプレイされて違いを感じる事はありますか。
曲とお客さんが同調する際に出る力が海外では内から外に放出されて、日本では内から更に内面に向かうように感じます。
1998年から現在に至るまで数多くのリリースをされておられますが、ここ最近の自分だけの流行について少し触れていただけないでしょうか。
音楽家が曲を作るという立場でなくDJが曲を作るという体で常にやっています。そのため今のDJスタイルが曲に反映されます。
以前は、盛り上げる事を良しとして第一にそれを要求されていました。今は、そこから逸れて与えられた時間の中で一つの物語を作るという方向に移行し、その一部分に当てはまるような激しくも深くもない中間の展開を採った曲を作ることを目指しています。
NOBUKI NISHIYAMA - 落合SOUP (JP)
ochiaisoup.tumblr.com
何度かライヴスペース落合soupでライヴをさせていただいておりますが、
いつも非常にサウンドが良くて驚きます。
ここまで辿り着くまでに色々あったと思いますが、一番思い出深い出来事は何でしたか。
もともとsoupはある程度いろんなクラブで遊んできたり働いてきたりしていた仲間が集まって形ができてきた場所です。そうした自分たちの場所を作ろうとした原動力のひとつがサウンドでした。
PAというのは(特に大きな場所になればなるほど)、そこで遊んでいるお客さん、あるいはイベントをオーガナイズしている側や出演者にとってさえも、ある種のブラックボックスというか、立ち入れない領域になっていることが多いです。
だったらそこをとっぱらってしまえばいいんじゃないか、というのが出発点でした。
自分たちでPAのオペレートができるようになれば、イベントごとに目指す(目指したい)音に近づけることができるようになりますし、出演者ともどのような音にすればいいのか、直接具体的な話ができるようになりますし……。
とうぜん、最初はまったくの手探りで、機材もぜんぜんない状態だったのですが、スタッフ全員が無償でsoupを運営しながらちょっとずつ機材を揃えていったため、自分たちで「今の状態にあと何が足りないのか」を相談しあいながら音を良くしていける、という楽しみを味わうことができました(今もまだその途中です)。
また、幸いにもsoupは自分たちがいいと思える方たちに出演していただいているので、そういった方たちとほとんど二人三脚のような状態で音を作っていくような過程でもありました。
そうした経験が一番思い出深い出来事だと考えています。
あと、この質問ではもうちょっと具体的な話が求められているかもしれないので、そこを補足しておくと、吸音材でハコ鳴りを整えたことと電源を整えたことが、サウンドを良くするという意味では一番ハッキリとした結果を得ることができたのではないでしょうか。やっぱり基本がダイジかと。
ROB BOOTH - ELECTRONIC EXPLORATIONS (ES)
electronicexplorations.org
「Electronic Explorations」をはじめたきっかけを聞かせてください。
2007年当時はまだ、ダウンロードできたり、HQサウンドで再生できる具体的なエクスペリメンタル/エレクトロニカのショーがインターネット上にほとんど無かったんだ。
Mary Anne Hobbs や Rob Da Bank をはじめとする極わずかのショーのみが Rinse.fm や Sub.fm などで紹介され、エレクトロニカ、テクノ、ダブステップなどの電子音楽を牽引していたけど、それらはダウンロード不可。それが出来たとしても 96 kbps というクオリティーでしかダウンロード出来なかった。
当時は iPlayer が無かったし、ID3 タグ付けや CUE シートも存在しなかった。
もうひとつは、僕自身がゲストミックスの各々のショーを欲していたという事もあるんだ。こういった事実は僕に、Milanese、Vex'd、Boxcutter、Surgeon、Dave Clarke、Pinchなど、僕が愛聴するアーティストと接触するきっかけをつくり、彼らを知り、ミックスを手に入れ mp3 プレイヤーで再生できるという素敵な機会が生まれた。
近年、仕事上の公約や夕方に少しの時間しかとれない僕の現状から、残念な事にそれらのショーはラジオ放送からミックスのみの形式に変えなければならなくなったんだ。

MICLODIET - SLUDGE-TAPES (JP)
sludge-tapes.com
SLUDGE-TAPESは何をきっかけに何処から派生してきたプラットフォームなのでしょうか。アーティスト活動とレーベル運営、イヴェントオーガナイズ等をこなす中、
あなたは今、音楽シーンに何を必要としていますか。
長い間DJとして活動していましたが、2006~2007年ぐらいにその活動を辞め、自分で音楽を制作して演奏する活動のみにシフトチェンジしました。同時期に東京の新宿区にsoupというスペースを友達と作り、そこでアンダーグラウンドなノイズ/エクスペリメンタルなシーンに関わるようになり、「すべて自分たちでやる」というDIY精神に影響されて、SLUDGE-TAPESをはじめました。
ノイズカルチャーには昔から自作のカセットテープをリリースしている人もいて、これなら音質もデザインも面白いし、簡単に出来そうだと思ったのがきっかけです。主に自分や周りの人達の作品をリリースするためのプラットフォームとして機能してます。
シーンというか主観ですが、はじめたころは自分の音楽性もレーベルの内容もちょっと変わってるし、周りのクラブやテクノ好きの人達から疎外感を感じていましたが、最近はいろいろなアーティストとの繋がりも増え、クラブシーンとエクスペリメンタルなシーンがいい具合にクロスオーバーしどんどん風通しが良くなってきて面白いと思います。
世界的な流行や海外のカルチャーのフォロワーになるのもいいけど、それをかすめつつ日本の独自解釈したオリジナルなシーンをもっと発信していったらいいと思います。